ペットちゃんが亡くなったら、どんなに覚悟をしていても慌ててしまうものです。さらに初めてお見送りを経験した方は、どのように供養してあげたらいいか分からず、不安になることもあると思います。
今回は大切なペットちゃんをきちんと供養するために、安置や葬儀方法などを詳しくご紹介していきます。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ペットちゃんが突然亡くなり、気が動転してしまうこともあると思います。しかし、ペットちゃんにとって頼れるのは飼い主様しかいません。落ち着いて、ペットちゃんが安心して旅立てるように準備をしてあげてください。
バスタオルや毛布を敷いて、そこにペットちゃんを優しく寝かせてあげてください。このとき敷くバスタオルや毛布は、ペットちゃんが生前に使っていた愛着のある物のほうがペットちゃんも安心するでしょう。
ペットちゃんが亡くなってから2時間ほどで、死後硬直が始まります。手足が伸び切った状態だと、遺体を箱などに入れる際に入らないこともありますので、できるだけ死後硬直の前に体勢を整えてあげてください。
目や口が開いた状態で亡くなっている場合は、閉じてあげましょう。目はそっと手で撫でてあげれば閉じさせることができます。口の場合はタオルなどで口を閉じている状態に固定しておけば、硬直後に外しても開かなくなります。舌が出ている場合は、口の中に優しく仕舞ってあげてください。
濡らしたタオルなどで全身を拭き、毛並みを整えるなどしてきれいにしてあげてください。また、遺体から体液や排泄物などが出てくることもあります。鼻や肛門・耳にコットンやティッシュを詰めて汚れないようにしてあげましょう。
筆者が飼っていた犬は病気で寝たきりになった後に旅立ちました。家族で介護したのは1週間にも満たない日数でしたが、慣れない対応に追われてとても慌ただしく過ごしたことを覚えています。
見送るまでも大変でしたが、その後の火葬や葬儀の手配が特に大変でした。どこに火葬を依頼するか、そもそも何をすればいいのかまったくわからなかったのです。
常に介護に追われる日々だったので、亡くなった後のことまで意識が向かなかったことが理由ですが、ペットちゃんのお見送りから葬儀は間を空けずに行う必要があるうえに、大切な家族との別れで頭が真っ白になって判断を下すのが難しくなることを痛感しました。
筆者と家族のようにいざとなって慌てないように、ペット友達や火葬業者など相談できる人を探しておくことや、火葬の依頼先の目星をつけておくなど、ペットちゃんが亡くなってから問い合わせる場所を事前に把握しておくのがおすすめです。
ペットちゃんを送り出すために必要な「火葬」「葬儀」「納骨」を手配するために、各所へ連絡する必要があります。
その際には営業時間や受付時間などを確認することに加え、優先順位を決めて連絡するようにしましょう。
まずは火葬を行う場所に連絡して火葬を手配します。業者によっては予約が埋まったり、自治体の場合は受付時間を過ぎてしまうなど、思った時間に火葬できない場合もあるため、最優先で連絡しましょう。
その後はスタッフの案内に沿って必要事項を確認することになりますが、気になることや不安なことがあれば、連絡した時点で質問して不安を解消しておくようにしましょう。
火葬に立ち会ってほしい家族や知り合いには早めに連絡して予定を調整してもらいましょう。
しかし、正確な時間や場所を伝える必要があるため、まずは火葬の予約を取ってから連絡するのがおすすめです。
ペット霊園・火葬業者に依頼した場合は一緒に手配される場合が多いため、個別での連絡は不要です。
「四十九日法要の後に納骨したい」「埋葬したい場所が決まっている」などの事情があって個別に連絡する場合でも、火葬の目途が立ってから連絡すればいいため、優先順位は低めです。
大切なペットちゃんが亡くなったら、きちんと供養してあげたいと思うのは飼い主様なら当然のことです。亡くなったペットちゃんの葬儀方法は大まかに「自宅に埋葬」「自治体での火葬」「ペット葬儀業者での火葬」「ペット霊園で火葬」の4つです。それぞれ詳しく説明していきますので、ご自身に合った葬儀方法をお選びください。
私有地に遺体を埋葬するのは法律上、問題ありません。そのため、熱帯魚や小鳥・ハムスターなどの小動物を自宅の庭に埋葬するという方も多いと思います。しかし、遺体の腐敗による異臭や病原菌が外に溢れてしまう可能性もありますので、自宅に埋葬したい場合は火葬してから埋葬するといいでしょう。
大体の自治体では、依頼すればペットちゃんを火葬してもらうことが可能です。しかし、自治体の場合はペットちゃんの遺体は一般廃棄物として焼却炉でゴミと一緒に焼却されるケースもあります。費用は抑えられますが、飼い主様が望む供養をしてもらえないこともありますので、依頼する前にお住まいの自治体へ確認するようにしましょう。
近年は、大切なペットちゃんをペット葬儀業者によって火葬してもらう飼い主様が増えており、ご自宅まで訪問しに来てくれる「出張ペット火葬」も人気です。出張ペット火葬は遺体を搬送する必要がなく、希望する場所で火葬してもらえたり、飼い主様のご要望にあわせて対応してもらうことができ大変便利です。
ペット霊園に必要な設備が整っている場合、火葬を依頼することもできます。火葬後はそのまま納骨することもできるため、火葬と納骨を別々の業者に依頼するよりも時間と予算を削減できます。
納骨方法も「個別のお墓に埋葬する」「他のペットちゃんと一緒に埋葬する」などご要望に応じて選べます。
ペット火葬の種類は、複数のペットちゃんと合同で火葬する「合同火葬」、個別で火葬する「一任個別火葬」、火葬後遺骨の拾い上げまで立ち会える「立会個別火葬」の3つがあります。
それぞれの火葬方法の特徴として「合同火葬」と名の付く火葬方法は基本的にお骨が返ってこず「個別火葬」はお骨が返ってくることを覚えておけば、理想の火葬方法を選びやすくなります。
そのうえで「火葬に立ち会って、自分達で拾骨したい」「立ち会えないが供養のためにお骨を返してほしい」など、ご自身の要望に応じて立ち会いの有無などを決めるようにしましょう。
火葬を依頼する場所によって必要な準備は異なります。
今回は「業者に依頼する場合」と「自治体に依頼する場合」を例に解説します。
大切なペットちゃんの葬儀方法と火葬日が決まればそれまで遺体の腐敗を進めないように安置してあげてください。
また、ペットちゃんの好きだったおやつや思い出の写真など、一緒に供えたいものがあれば準備しておきましょう。ただし、プラスチックやビニールなどは火葬する際に焦げて遺骨をきれいに残せないこともあるので避けてください。また、この間にペットちゃんとお別れする、気持ちの準備もしておきましょう。
自治体に遺体の火葬を依頼する際の安置方法を、大阪府の場合を例に説明します。
最寄りの環境事業センターに引き取りを申し込みます。
(受付時間)
月~土 (年始を除き、祝日を含む)
午前8時~午後4時30分まで
遺体は布で包んだうえでビニール袋に入れ、引き取りに来たスタッフに渡す。
この際、首輪など燃えないものは外しておく。
業者に依頼する場合と比べて「申し込み時間や日程に制限がある」「遺体の安置方法」が異なることを覚えておきましょう。
遺体は引き取りに来てくれるため、安置せずに袋に入れて待てばいいように思えますが、予約状況次第では引き取りが翌開庁日になる場合があり、安置をしていないと死後硬直した苦しそうな姿勢のままで送り出すことになります。
そのため、引き取り時間が来る直前まではしっかりと遺体を安置してあげるようにしましょう。
※参考サイト
ペットちゃんが亡くなった場合は、様々なところに報告する必要があります。また、返骨後はどのように供養すればいいか分からないという方もいらっしゃると思います。
この章では葬儀後の流れについてご紹介いたします。
犬が亡くなった場合は狂犬病の予防管理をしているため、役所や自治体に「死亡届」の提出が義務づけられています。ペットちゃんが亡くなって辛い中ですが、30日以内に提出するようにしましょう。
死亡届の提出方法についてはこちらにまとめていますので、参考にしてください。
ペット保険に加入している場合は、保険会社に連絡する必要があります。ペットちゃんが亡くなった際に「見舞金」として保険金が受け取れる場合もありますので、保険会社に確認してみましょう。
お世話になった動物病院の先生に、電話または直接お礼する飼い主様もいらっしゃいます。もちろん、必ずしなければいけないということでありませんので、タイミングはいつでも問題ありません。
火葬プランによって、遺骨を返却してもらうことができる場合もあります。遺骨をそのままご自宅に置いておく場合は、除湿剤を骨壺に入れてカビを防ぐようにしましょう。また、ご自宅の庭など私有地であれば遺骨を埋葬することが可能です。
「人と同じようにお墓を建ててあげたい」とペット専門の霊園などに遺骨を納められる方も最近は増えてきております。また、遺骨の一部だけキーホルダーやペンダントにして身に付けられる飼い主様もいるなど、ライフスタイルや考え方にあわせた選択肢があります。
ご自身に合った方法で大切なペットちゃんの遺骨を供養してあげてください。
大切なペットちゃんが亡くなると、ショックのあまり何も手がつかなくなることもあると思います。しかし、大切な家族のために今は悲しみをこらえて、ペットちゃんが安心して旅立てる準備を進めていきましょう。
今抱えている悲しみも、いつかはペットちゃんとの思い出が癒してくれるはず。ペットちゃんと飼い主様にとって最善な方法で見送れるよう、最適な火葬・供養方法を選びましょう。
この記事の執筆者
ペット火葬
ハピネス 編集部 J・N
愛するペットちゃんとのお別れによって心に深い悲しみと不安を抱えた飼い主様を支えられるような、わかりやすく正確な記事作成を心掛けています。自分のこと以上に大切な家族を思いやることができる優しい心を持った飼い主様の力になれるように努めます。
※許認可の関係等で現在対応できない地域も
一部ございます。