ザリガニは子供の虫かごからきちんと設備を整えた大人の水槽まで、幅広い環境下で飼育される人気者です。
平均寿命はおよそ5~6年、飼育環境に気を配れば8年も生きられる丈夫な体を持っているため、長く一緒に居られる愛らしいペットです。
そんなザリガニに長生きしてもらうためには何が必要なのでしょうか。また、万が一死んでしまった場合にはどのように供養してあげれば良いのでしょうか。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
飼育中のザリガニの主な死因は、おおまかに以下の4点が挙げられます。
ザリガニはエラ呼吸をしているため、こまめな掃除をしなかったりエアレーションなどで適切なろ過が行われない設備で飼育しているなどして、水中の酸素が少ない環境におかれるとザリガニの寿命は大幅に縮んでしまいます。
水中の酸素が足りないとザリガニは徐々に元気を失っていきます。
そのような状態でエネルギーを消費する脱皮を行った場合、そのまま力尽きて死んでしまう可能性も十分ありえます。
同じ水槽内に多くのザリガニを入れる事は酸欠だけではなく、共食いのリスクも高めてしまいます。
少ない数で飼育していたとしても体の大きさが極端に違うと小さい個体が攻撃され、共食いされてしまうといったトラブルが起こりやすくなります。
変温動物であるザリガニは水温がおよそ15度以下になると活動が鈍くなり、10度以下になると冬眠に入ります。
冬眠できる生き物であっても、冬眠に失敗することはよくあることです。
冬眠に失敗するとそのまま死んでしまうリスクが高いので、活動しやすい15~25度を保ってあげましょう。
脱皮を繰り返すことでザリガニは成長していきます。
しかし、この作業は体力を大幅に消費するため食事や栄養が足りていないと途中で力尽きる可能性があり、まだ固まっていない体を外敵に攻撃されることでダメージを負う可能性があったりと命がけの作業でもあります。
脱皮の前兆として食事を摂らなくなるので、日頃からバランスよくエサを与えて健康状態を良好に保ちましょう。
ちなみに市販のザリガニ用のエサには必要な栄養が配合されているので、健康を保つためといって、特別な餌を用意する必要はありません。
先ほど紹介した死因は、普段から観察して前兆に気付くことができれば事前に対策できる可能性もあります。
では、ザリガニは死ぬ前にどのようなサインを見せるのでしょうか?
当然ながら、体が弱るとザリガニはエサを食べなくなってしまいます。
体が弱る主な原因としては、水温が適切でなかったり水質が悪い、酸素が不足しているといった環境面の問題です。
また、脱皮前や単にエサに飽きてしまっている場合でもザリガニの食欲が落ちることがあるため、いつもと違ったところはないか普段から様子をしっかりと見てあげることが大切です。
この「横たわっている」には二つの意味があります。
一つは地面に横向きになって倒れているような状態、もう一つは水面に対して並行になるような姿勢で横になっている状態です。
倒れている場合は体を支えるのが難しくなるほどに弱っている状態のため非常に危険です。
対して横向きになっている場合は体の横にあるエラに酸素を取り込む目的のためにやっている場合もあるため、臨機応変に判断する必要があります。
近づいた際に逃げる・隠れるなど元気な様子が確認できれば心配がいらない場合も多いですが、いずれにしても酸欠の可能性を疑い、対策を考えるのがおすすめです。
ザリガニは生命力が強い生き物ではありますが、長生きしてもらうためには飼育方法にも工夫が必要です。
ザリガニは水中の酸素が少なくなると水面に浮きあがって酸素を取り込む習性があります。
流木などの足場を作っておくなどして水面まで自力で上がれるようにしておかないと溺れて死んでしまう可能性があります。
しかし、水中に酸素が足りていれば済む話ですので、エアレーションなどの設備があるなら心配は無用です。
ザリガニは水槽の設備をよじ登って脱出することも多いです。
その後発見が遅れると水に戻してもそのまま死んでしまうケースが多いため、脱出できないようにフタをしておくと安全です。
ザリガニに長生きしてほしいなら、ひとつの水槽で複数のザリガニを飼ったり、既に飼っている途中でもう1匹を追加することは避けましょう。
ひとつの水槽につき1匹という環境にすることで、「エサの取り合い」「弱っている時(脱皮前後など)の衝突や攻撃」「共食い」といったトラブルを防ぐことができます。
ザリガニは物陰に隠れるのが好きな習性があり、犬のようになついてこちらを視認すると出てくるといったようなこともしないため、姿が見えなくても別に気にすることはありません。
しかし、あまりに長い間姿が見えないという場合には「どこか具合でも悪いのではないか」と心配してあげるのも大切です。
ペットとして大切に飼育している以上は当然のことではありますが、異変に早く気付いてあげられればザリガニの寿命は大幅に伸びるのは確かです。
また、背中と尾の境に白い筋が見られるなど、脱皮の兆候が見られたら水槽内で混泳している生物に邪魔されないように水槽内で仕切りを作って隔離してやるなど、状態に合わせて適切に対処してあげましょう。
どれほど手を尽くしても仕方のない場合もあります。
その際にはきちんと供養してあげましょう。
これが最もポピュラーな方法ではありますが「庭に」というのがポイントです。
公園や他人の土地に無断で埋めるのは法律違反(廃棄物の処理及び清掃に関する法律5条)であり、罰せられます。
庭など私有地であれば問題ありませんので、動物が掘り返す、複数の個体を埋める場合は腐敗臭が漏れるなどして周囲に迷惑をかけないように深く穴を掘って埋めてあげましょう。
「自然に返してやる」という考えから、川や池に死骸を流そうと考える方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、これも先述した「廃棄物の処理及び清掃に関する法律5条」に違反する行為であるうえ、飼育されていた個体特有の病気をばらまくことで生態系を乱す危険性も考えると、不適切な方法だと言えます。
多少心が痛む方法ではありますが、庭がないマンションや集合住宅で暮らしている方にはこの方法も選択肢に入ってきます。
方法としては燃えるゴミの袋に入れて出せば完了ですが、もう少し丁寧に葬ってあげたい場合は水槽から出して余分な水気を拭き取ってから、乾燥しないように濡らした脱脂綿で包んであげるのがおすすめです。
結論から言えば可能ですが、哺乳類のように骨が残るわけではなくそのまま灰になってしまいます。それでも火葬で供養してあげたい場合は「自力での火葬」「ペット火葬業者への依頼」の2種類が選択肢として挙げられます。
自力での火葬の場合は焼却炉のような安全に高火力が出せる設備が必要です。
しかし、ご家庭に焼却炉を設置するには事前に自治体への申請が必要であり、法定基準を満たして製造されたものでなければならないため、そもそも設備がない方のほうが多いです。
何より発生する臭いや舞い散った灰が周辺の敷地に拡散してトラブルに発展する可能性を考えれば、自宅での火葬はやはり難しいものがあると言えます。
ペット火葬業者はおよそ1,000度の火力が出る専用の火葬炉を用いて火葬を行い、その際に発生する有害物質・臭いを含む煙をそのままで排出せずに熱で分解させてから無煙・無臭状態にして排出する設備が整っています。
安全面と確実さで言えば、ペット火葬業者に依頼するのが現実的です。
そのため、どうしても火葬での供養を望まれる場合は専門のペット火葬業者に依頼するのがおすすめです。ペット火葬サービスは犬や猫、鳥類など大型の動物専門と思われがちですが、業者によっては熱帯魚・ヤドカリなど小型の水生生物の火葬に対応してくれるところもあるため、ザリガニも対象に含まれるか質問してみるのも一つの手です。
ザリガニは丈夫な体を持っているため、飼育環境に気を配り、きちんと整えてあげれば長く一緒にいられるペットです。
しかし、どれほど環境を整えても寿命やその他様々な要因で死んでしまうことは避けられません。
その際にはこれまで一緒に過ごしてくれた感謝を込めて敷地内の土に埋めてあげる、専門業者に依頼して火葬してもらうなどの方法もありますが、住んでいる環境などの影響でやむを得ず燃えるゴミとして出す方法も選択肢として挙げられます。
しかし、供養というのは飼い主の気持ちをペットに伝える作業のため、ご自身が後々悔やむようなことがなければ、どの方法を選んでもいいとも言えます。
後悔がないように選択してくださいね。
この記事の執筆者
ペット火葬
ハピネス 編集部 J・N
愛するペットちゃんとのお別れによって心に深い悲しみと不安を抱えた飼い主様を支えられるような、わかりやすく正確な記事作成を心掛けています。自分のこと以上に大切な家族を思いやることができる優しい心を持った飼い主様の力になれるように努めます。
※許認可の関係等で現在対応できない地域も
一部ございます。