メダカは環境の変化にも強く、ペットを飼ったことのない初心者の方でも比較的飼いやすい生き物です。とはいえ生き物ですから、飼育方法や環境によってはすぐに病気になったり死んでしまったりすることもあります。
メダカが水槽の底に沈んで動かない! 死んでしまったのかも? そのようなときの対策や、少しでも長生きしてもらえるような飼育方法をお伝えします。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
いつも元気に水面付近を泳いでいるメダカが底に沈んでいて動かなければ、もしかして死んでしまったのかなと焦ってしまいますよね。しかし、まずは状況を把握することが大切です。メダカが底に沈んで動かないのは、以下の理由が考えられます。
メダカは外敵の存在を警戒して、底に沈んでいることがあります。防衛本能が働いてこのような行動をしているので心配は不要ですが、飼育環境を見直す必要はあるでしょう。猫や鳥などがメダカをエサとして捕獲してしまわないように、安全な環境で飼育しましょう。
屋外で飼育している場合は、水槽や鉢にネットを被せるなどの対策をとることをおすすめします。
基本的にメダカは水温の変化に強く、水温の低い場所でも生存できる魚です。水が凍結しない限り、低い水温の中でも越冬することができます。しかし、水温が15度以下になるとだんだんと動きが鈍ってきて、さらに低くなるとほとんどのメダカは冬眠状態に入ります。
そのため、水槽の底に沈んで動かなくなります。まずは水温が低すぎないかを確認してみましょう。
水温も適温で、外敵の影響も考えられない場合は、何らかの病気やけがが原因で底に沈んで動かなくなっている状況も考えられます。この状態が長期化すると死んでしまう危険性もありますので、早急に対応が必要となります。体の表面やヒレに症状が出ていないか確認してみてください。傷がついていたり、小さな斑点が出ていたりすると病気の危険性があります。
メダカが死んでしまう主な原因は4つあります。
原因を知り、あらかじめ対策を取っておくことで少しでも長生きできる環境下で飼育しましょう。
メダカは比較的初心者にも飼いやすく丈夫な魚ですが、病気のリスクは大いにあります。
病気の要因としては「メダカや水草を水槽に入れる際に、病原菌も一緒に入ってしまう」「メダカに何かしらのストレスがかかり、免疫が弱って水槽にいる菌に感染してしまう」ことなどが挙げられます。
メダカは体が小さいので、斑点や白カビなどの症状が現れていても気付きにくいことがあります。日頃からよく観察しなければなりません。
上手くエサが行き渡らないと、餓死してしまうことも考えられます。エサの量が少なすぎたり、他のメダカよりも動きが遅かったりして、栄養を摂ることができずに餓死してしまうのです。エサの与え方を見直す、弱いメダカだけ隔離して飼育するなどの対策をしましょう。
メダカのエサやりは、よく活動する夏場であれば1日2回がベストです。与えるエサの量は、大体2~3分で食べきる程度で良いとされています。エサを与えすぎた場合は食べ残しを放置せず、速やかに取り除きましょう。また、寒い冬など活動が落ちている時期は、メダカの様子を見ながら調節してあげてください。
水温の急激な上昇にも注意しておく必要があります。メダカは水温の変化に強い魚ですが、高水温の状態が長く続いたり、水温が40度に達すると非常に危険です。室内で飼育している場合でも直射日光があたる環境下では水温が上昇するので注意しましょう。ただし全く日光が当たらないとなるとメダカの成長にも影響します。ほどよく遮光ができて通気性の良い場所で飼育するのがベストといえます。
メダカが水面で口をぱくぱくさせるようないわゆる「鼻上げ行動」を取っていたら酸欠を疑う必要があります。エアポンプまでは必要ありませんが、水槽の広さに対してメダカが多すぎないか、空気に触れる水面の広さは十分か確認しましょう。
特に夏場は水槽内の酸欠が起こりやすいと言われています。なぜなら、水温が高いほど、酸素が水に溶けにくくなるためです。水中に溶ける酸素の量は水温によって変化するため、季節によってメダカちゃんの環境を整えてあげることが重要になります。
メダカにはたくさんの品種があり、普段良く見かけるものから不思議な色や形をしているものまで様々です。
・ヒメダカ
ヒメダカは江戸時代から存在していたメダカで、野生のメダカから突然変異して生まれた品種です。体全体が黄色~オレンジ色をしており、観賞用としても非常に広く出回っているメダカです。
・クロメダカ
クロメダカは、川や田んぼなど自然の中に存在する野生のメダカです。体全体が黒っぽいことから黒メダカと呼ばれています。
・シロメダカ
シロメダカは、品種改良されたメダカで全体的に真っ白な体をしています。白メダカのなかにも色素の薄いアルビノメダカがいますが、アルビノメダカの目は赤く、白メダカの目は黒です。
水の中でも非常に目立つので、水槽で飼うものおすすめですが屋外の鉢の中で飼育するとさらに美しく見えます。
・楊貴妃メダカ
楊貴妃メダカは品種改良により体全体が鮮やかな朱色をまとったメダカです。
・スケルトンメダカ
スケルトンメダカはその名の通り、うろこに色がなく体が透けているメダカです。目の横が赤くなっていて頬っぺたのように見えるところが可愛く観賞用として人気があります。
メダカの寿命は、屋内で飼育している場合は大きな環境の変化や危険がないため、2~3年が平均です。常に安定していて、適切に飼育すれば5年ほど生きることもあります。
しかし屋外の過酷な環境であれば、1年ほどで死んでしまうことも。
品種によっても寿命は若干変わってきます。
もちろん長生きするかどうかは環境によりますが、人の手によって改良されたメダカは環境の変化に適応できなかったり、病気になりやすかったりと寿命が短くなることがあります。
大切に飼育していたメダカが死んでしまったら、どのように対応したら良いのでしょうか。まずは一刻も早く、水槽から死骸を取り出すことが重要です。そのまま放置していると、メダカの体にカビが生え、水質に影響を及ぼす危険性があります。
飼育していた期間だけでなく、最後までしっかりとお世話をしてあげましょう。
メダカだけでなく金魚や熱帯魚などが死んでしまったら、庭やプランターなどの土に埋めようと考えるほうが多いかもしれません。
土葬の考え方ですね。
でも、死骸を土に埋めることはあまりおすすめできません。
死んだメダカを土に埋めてしまうことは、もしメダカが病原菌を持っていた場合に生態系を壊し、病気を蔓延させることに繋がりかねません。
プランターや植物が植えてある土の近くに埋めると、植物が枯れてしまうこともあるでしょう。生き物の死骸は肥料になるといわれることがありますが、病原菌を持っている場合は必ずしもそうとは限りません。
大切に飼育してきたメダカをゴミとして処分するなんて……と思われるかもしれませんが、メダカが死んだら家庭ゴミとして出すのが最も適した方法です。
食卓に出てくる食用の魚は、生ゴミとして処分しますよね。考え方は同じで、メダカも魚ですから家庭ゴミとして処分が可能です。キッチンペーパーなどにくるみ、お別れをしてから処分しましょう。
ただし、長期間放置してしまうと腐敗が進み異臭の原因となってしまいますので、速やかに処分するように心掛けてください。
「メダカを本来の姿に戻してあげたい」という理由から、川や池に流すことは絶対にやめてください。病原菌の影響で生態系に悪影響を及ぼすだけでなく、公共の場所に死骸を廃棄することは違法になります。
公園や海なども、公共の場ですからNGです。
ペット火葬業者の中には、メダカの火葬を行っている業者もあります。もし火葬を依頼する場合は、遺体が火葬当日までに傷まないよう、以下の方法で安置をしてあげてください。
①遺体を軽く洗い、濡れたキッチンペーパーに包みます。水草などが身体に付着している場合はそっと取り除きます。
②キッチンペーパーに包んだ状態で、タッパーなどのプラスチックケースに寝かせます。
③遺体のまわりに保冷材を添えて、冷蔵庫など涼しい場所に保管します。
ポイントは乾燥させないこと、そしてしっかりと冷やすことです。水の中で生活する生き物は腐敗の進行が速いため、抵抗がなければ冷凍庫に安置してあげるのもよいでしょう。保冷材はこまめに取り替えてください。
メダカが底に沈んで動かない理由には外敵の存在や、水温が低すぎるなどが考えられます。外敵もおらず、水温も適温の場合は病気やけがが考えられますのでしっかり観察してみてください。
またその他にメダカが死んでしまう理由としては、病気の他にエサに十分にありつけなかった餓死や、酸欠状態が考えられます。メダカは初心者にも買いやすい魚ですが、少しでも長生きさせるために事前の対策や飼育環境には注意しましょう。
メダカが死んでしまったら、家庭ゴミとして出すのが最も適した方法です。お別れや供養をして適切に処分しましょう。
この記事の執筆者
ペット火葬
ハピネス 編集部 J・N
愛するペットちゃんとのお別れによって心に深い悲しみと不安を抱えた飼い主様を支えられるような、わかりやすく正確な記事作成を心掛けています。自分のこと以上に大切な家族を思いやることができる優しい心を持った飼い主様の力になれるように努めます。
※許認可の関係等で現在対応できない地域も
一部ございます。